2007年07月25日

7年前、ヒクソンと闘った時の自分には勝てます

7年前、ヒクソンと闘った時の自分には勝てます

──(前編からの続き)振り返ってみて、引退してからの7年間という期間は長かったですか?

船木

あぁ……どうでしょう?(笑)。あっという間と言えばあっという間ですね。いろんなことがあって、格闘技の強さではどうにもならない人間関係での闘いというのもありましたし、自分が物凄く小さく見えたこともありました。「あれだけ格闘技で強さを求めていたのに、なんでこんなことで自分の力が一つも発揮できないんだろう……?」と思うこともありました。で、体がボロボロになって引退したんですが、3年くらい経つと回復してくるんですね。そうなると、格闘家としての自分が、体が元気なせいで、比重が大きくなってきてしまった。自分の中のバランスが崩れてきてしまったんです。

──「格闘技をやりたい」という気持ちが出てきたと?

そうです。そして、柴田と練習するようになって、そのバランスが調整されてきた。「やっぱり体を動かさなければいけないな」と思いましたね。

──一ファイターとして見て、7年前の船木選手と現在の船木選手。強くなっていると感じますか?

7年前、ヒクソンと闘った時の自分には勝てます。あの時の自分は弱いです。気持ちが一点に定まっていないです。いっぱい隙があります。

──その後、指導者・解説者となって、いろんな選手を指導し、たくさんの試合を見てきたと思います。その経験というのは活きていますか?

これが活きるんです。何が一番活きるかというと、質問されるんですよ。その質問に答えることができた。現役の頃に他の選手に教えている時は、具体的に教えることができなかったんですよ。動きで説明できても、口で説明することができなかった。だけど今は、昔一度経験したことを口でも説明できる。「こういう動きをされた場合、どうすればいいんですか?」と聞かれたら、「あっ、それはあの時のシチュエーションと似ているなぁ」と思って、それをすぐに回答できますね。これは自分の中で再確認できるというか、自分が練習する上ですごく活きていますね。

新しい強いスター選手を作る時期

──今の総合格闘技界を見てどう思いますか?

パンチ力がすごいとか、すごく極めがうまいとか、体力が物凄いとか、どこかズバ抜けたところがない選手じゃないと活躍できないようになってきましたよね。そういう意味では、一通りのことができるというのが最低条件だと思います。それに、ただ勝てばいいってわけではない。個性とか、人間的な魅力とかも必要になってきます。いまだに自分たちでも上がるチャンスがあるってことは、下が育っていないってことですからね。海外でも同じ現象が起きている。いまだにケン・シャムロックもやっているわけですから。世代交代をしないといけない時期なのかもしれませんね。

──一夜明け会見では、「アメリカに取られた日本の総合格闘技のいい部分をもう一回作り直せると思います」ともコメントしていました。

まずは日本人選手の数。海外勢と立ち向かえる数が必要ですよね。あと、まだまだブラジルとかロシアには強い選手がいるらしいです。その無名だけど強い選手というのをドンドン呼んできて、切磋琢磨する。ただ、日本人選手が負けっ放しじゃあダメです。世代交代という意味でもそうですが、新しい強いスター選手を作る時期だと思います。そして、その役目はHERO'Sにあると思うんです。

──船木選手から見て、HERO'Sというイベントはどう評価されていますか?

HERO'Sのエンターテインメント性というのは、つまらない内容になってしまう要素を多分に含んでいる格闘技の試合というものを色づけして、華やかさを加え、テレビで扱ってもらえるようにする。テレビに乗らないというのは、人の目に触れないということ。できるだけ多くの人に見てもらって評価してもらうというHERO'Sのやり方というのは、自分は間違っていないと思います。

ヒクソンは自分の弱さを教えてくれた人

──現在、体重が86kgということで、ライトヘビー級にカテゴライズされることになります。興味のある選手はいますか?

強い選手ですね。復帰して、最初のうちは死ぬ気で頑張ると思うんですけど、慣れたらダラけそうな気がするんです。「慣れない」という意味でも毎回強い選手と闘いたいですね。

──一夜明け会見では、桜庭選手、田村選手との対戦にも「マッチメイクされれば!」とおっしゃっていました。

ええ。2人とも本当に頑張っていますよね!

──田村選手は一部専門誌・スポーツ紙で「船木選手に興味がある」というようなことを言っていましたが?

もう、その時は、オレは総合格闘技にこの体を捧げますよ。オレを食って、餌にして、栄養にしてほしい。その代わり、オレも全力で抵抗します。これは田村選手に対してだけでなく、下の世代の選手たちに対しても同じ気持ちです。

──あと、ヒクソン・グレイシーという名前も出てきました。

向こうがOKしたら、ぜひやりたいですね。

──今の船木さんにとって、ヒクソンはどういう存在ですか?

自分の弱さを教えてくれた人ですね。自分の弱さを「ドーン!!」と突きつけられました(苦笑)。

──なら、その7年間の成長を知る上でも……。

やりたいですねぇ……。精神的にもここまで強くなったということを見せたいです。

一回引退していますから、二度と引退はしないです

──復帰第一戦目は今年の大晦日の『Dynamite!!』ということですが、その後はHERO'Sに継続参戦していくことになるのでしょうか?

その次はぁ……、その次の年の年末です!(笑)。

──ええ?!?(笑)。

いやいや、冗談です(笑)。その後はその後で考えます。もう引退はないですからね。一回引退していますから、二度と引退はしないです。引退しようとしてもできない。自分は幽霊ですから。

──相手は幽霊と闘うことになるわけですね。

幽霊は死にませんからね(笑)。その代わり、ずっと幽霊で居続けなきゃいけません。

──谷川代表は「船木選手、田村選手、桜庭選手の世代の人たちにはメインの風格がある」というようなことを言っていたのですが、船木選手の考えるメインイベンターの条件というのは何でしょう?

「人のために闘えること」じゃないでしょうか。自分のためだけじゃなくて、すべての人たちのために。その割合が大きければ大きいほど、人にも尊敬されますし、応援する価値のある人間だと思います。感動を与えてくれるってことですからね。

──最後にHERO'Sオフィシャルサイトを見ているファンの人たちへメッセージをお願いできますか。

自分を知らない人たちも、自分を応援してくれるファンの人たちも、まずは自分の試合を1回、見てください。決して損はさせない試合をするよう頑張ります。■

「7年前、ヒクソンと闘った時の自分には勝てます」。大晦日では一体どんなファイトを見せてくれるのか?

船木のUWF時代の先輩でもある前田SVは「思い入れのある選手なので、できる限りのことはしたい」と、かつての後輩へ全面バックアップを約束した

今月17日に行われた一夜明け会見では、大晦日の復帰戦について「相手が誰でも思いっきり叩きのめしにいきたい」とコメント

「向こうがOKしたら、ぜひやりたいですね」。因縁の相手、ヒクソン・グレイシーにも興味を示す

大晦日の相手は誰になるのか? 今後の動向に注目だ!

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